TECC受講者も愛読!相原先生の楽しく学べる中国語

どうちがう?中国語 類義語弁別

使い分けや意味の違いがうまく説明できない中国語の類義語を、中国語教育の専門家 たちが例文を駆使しながら明解に解説する、相原茂先生監修のコラムです!

第4回

01

“爱”ài “好”hào (田 禾)

【相原茂先生:監修】

“爱”と“好”はいずれも「ある事をするのを好む」という意味を持つ。この意味から常に繰り返し行われることで、「よく・・・する、・・・しがちである」という用法にもなる。「彼は映画が好きです」という文を中国語で言う際に、日本語の影響で、“好”を選ぶ日本人学習者が少なくないが、正解は“爱”で“、好”は使われない。

(1)他(爱/*好)看电影儿。
Tā(ài/*hào)kàn diànyǐngr.
(彼は映画が好きです)
面白いのは“看电影儿”を“听戏”(観劇する)に入れ替えると、“好”も使えることである。
(2)他(爱/好)听戏。
Tā (ài/hào) tīngxì.
(彼は芝居好きです。)
なぜ“好听戏”ならばどちらも言えるのか、より具体的例を見てみよう。
(3)她这一辈子就好听戏,没吃没喝都成,不让听戏可就没法儿活了。
Tā zhè yíbèizi jiù hào tīngxì,méi chī méi hē dōu chéng,bú ràng tīngxì kě jiù méifǎr huó le.
(芝居を観ることは彼女の唯一の楽しみだ。食えなくてもなんともないが、芝居がないと生きていけないというほどだ)
中国の京劇などの伝統劇は歌と台詞が中心である。そこでそうした劇を鑑賞するというときに、動詞に「聞く」 “听”をよく使う。劇に惚れ込んだ人はそのメロディに夢中になって聞き入るというわけだ。ある種の中毒ともいえるだろう。ただの「好き、嫌い」ではなく、このように、本人もせずにはいられないほどの「癖」や「中毒」になると、“好”が用いられるのである。
(4)小王好干净,手里总拿块抹布,擦擦这儿,抹抹那儿。
Xiǎo Wáng hào gānjing,shǒuli zǒng ná kuài mābù,cāca zhèr,māma nàr.
(王さんはきれい好きな人で、いつもふきんを持って、あちこちを拭いている)
それほどでなければ、“爱”を使えばいい。“爱打麻将”ài dǎ májiàng(マージャンが好き)はまだ趣味としての範囲だが、“好赌”hàodǔ(とばくを好む)というと明らかに「クセ、中毒」だ。普通、「クセ」になることとしては考えにくい事柄なら、“好”より“爱”が相応しい。“爱(*好)看电影儿”(映画を観るのが好き)、“爱(*好) 唱歌儿”ài chàng gēr(歌うのが好き)、 “爱(*好)说爱(*好)笑”ài shuō ài xiào((性格が明く)よく話しよく笑う)。
人間以外に、機械の「クセ」や、動物の習性を表す場合にも“好”が使える。
(5)这车的油箱天一热就好漏油。
Zhèi chē de yóuxiāng tiān yí rè jiù hào lòuyóu.
(この車のタンクは暑くなると油が漏れやすい)

(6)这种鸡生性好斗。
Zhèi zhǒng jī shēngxìng hàodòu.
(この種の鶏は生まれつき戦うのが好きで、気性が荒い)
例の5)は“好”の代わりに“爱”も使えるが、6)はそのままでは“爱”は使えない。“好斗”とほぼ同じ意味の“爱打架”ài dǎjià(けんか好き)ならば言える。ほかにもいくつか固定的な組み合わせがある。例えば、“好吃懒做”hàochī lǎnzuò(食うことばかりで仕事嫌いの怠け者)、“好逸恶劳”hàoyìwùláo(楽なことを喜んで労をいとう)、 “好色”hàosè(好色)など。これらの“好”を使う言葉はいずれも人の性格、本性を指す。つまり、“好”は“爱”と同じく、「好き」→「よくする」のように意味が拡大したが、“好”だけがさらにもう一歩進んで、「よくする」→「クセになる」、その時間がさらに長くなると→「性格や本性になる」というように特別なニュアンスを持った。その結果、“爱”の目的語は比較的自由度が高いが、“好”はほとんど固定的な目的語しかとれず、自由にいろいろな語と結びつくことがないのである。
しかし“好”は決してマイナスのイメージを表すばかりではない。“勤奋好学”qínfèn hàoxué(勤勉で学問好き)、“好客”hàokè(客好き)、“好强”hàoqiáng(向上心が強い)のように、プラスの意味を表す場合にも“好”が用いられている。これらの組み合わせもすでに熟語化し、書面語的なイメージを持っており、“爱”で言い換えることはできない。

(執筆:田 禾)

相原先生

相原先生プロフィール

東京教育大学修士課程修了。1980~82年、北京にて研修。中国語学、中国語教育専攻。明治大学助教授、お茶の水女子大学教授等を経て、現在中国語教育の第一人者として著述やマスメディアで活躍中。NHKのラジオ、テレビでも長年、中国語講座を担当。TECC中国語コミュニケーション協会代表。

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