第7回
“更”gèng “还”hái (樋口幸子)
【相原茂先生:監修】
比較表現に用いる副詞の“更”と“还”とを比べてみる。
“更”も“还”も、比較文(A+“比”+B+“更/还”+形容詞)の中で、「もっと~だ/更に~だ」と数量や程度が更に一段上であることを表す。
共に比較差を表すが、“更”は差の大きさそのものを伝える一方、“还”は驚き、あざけり、意外性などの語気を込めることがある。
以下の文で、ニュアンスの違いを考えてみよう。
(1)我的工资比他的更多。
Wǒ de gōngzī bǐ tā de gèng duō。
(わたしの給料は、彼より更に多い)
(2)我的工资比他的还多。
Wǒ de gōngzī bǐ tā de hái duō。
(わたしの給料は、なんと彼より多い)
Wǒ de gōngzī bǐ tā de gèng duō。
(わたしの給料は、彼より更に多い)
(2)我的工资比他的还多。
Wǒ de gōngzī bǐ tā de hái duō。
(わたしの給料は、なんと彼より多い)
(1)と(2)は、共に二人の給料を比べているが、“更”を用いた(1)では、「わたしの給料がより多い」と、多さを事実としてありのまま表現している。
“更”は、比較の方向性が揃っている(もともと二人の給料はそこそこ多く、二人の給料の「多さ」を比べている)時、使われる。もし、もともと彼の給料が低いならば、比較の方向性が揃わない(片方が「多い」片方は「少ない」)ため、“更”は使わない。
一方、(2)の“还”を用いた文では、話者の意外な気持ち、驚き、場合によっては皮肉など、何らかの語気を含む表現になる。
例えば、平社員の自分の給料が、課長である彼の給料を上回ったとき、単なる比較のみならず「なんとまぁ」など、主観的な気持ちを込めた表現をしているのが(2)の例である。これは単なる事実の伝達とニュアンスが異なる。
もう一組、別のペアで“更”と“还”の違いを見てみよう。
“更”は、比較の方向性が揃っている(もともと二人の給料はそこそこ多く、二人の給料の「多さ」を比べている)時、使われる。もし、もともと彼の給料が低いならば、比較の方向性が揃わない(片方が「多い」片方は「少ない」)ため、“更”は使わない。
一方、(2)の“还”を用いた文では、話者の意外な気持ち、驚き、場合によっては皮肉など、何らかの語気を含む表現になる。
例えば、平社員の自分の給料が、課長である彼の給料を上回ったとき、単なる比較のみならず「なんとまぁ」など、主観的な気持ちを込めた表現をしているのが(2)の例である。これは単なる事実の伝達とニュアンスが異なる。
もう一組、別のペアで“更”と“还”の違いを見てみよう。
(3)弟弟比哥哥吃得更多。
Dìdi bǐ gēge chī de gèng duō。
(弟は兄よりずっと沢山食べる)
(4)弟弟比哥哥吃得还多。
Dìdi bǐ gēge chī de hái duō。
(弟はなんと兄より沢山食べる)
Dìdi bǐ gēge chī de gèng duō。
(弟は兄よりずっと沢山食べる)
(4)弟弟比哥哥吃得还多。
Dìdi bǐ gēge chī de hái duō。
(弟はなんと兄より沢山食べる)
もともと兄弟は共に大食いで(比較の方向が揃っている)、弟は兄の上を行く大食漢だとすれば、(3)になる。また、常識的にみて、兄の方が小さな弟より沢山食べると思っていたところ、弟の方が大食いであったなら4)になる。
“还”は、主観的な気持ちを文に盛り込み表現できることから、比較の対象に極端なものを挙げ、「そんなものと比べて更に~」と誇張表現をすることがある。「亀よりのろい」「マッチより細い」などである。
“还”は、主観的な気持ちを文に盛り込み表現できることから、比較の対象に極端なものを挙げ、「そんなものと比べて更に~」と誇張表現をすることがある。「亀よりのろい」「マッチより細い」などである。
(5)这辆车比乌龟还慢。
Zhè liàng chē bǐ wūguī hái màn。
(この車は亀よりのろい)
(6)他比奥林匹克运动员跑得还快。
Tā bǐ Aòlínpǐkè yùndòngyuán pǎo de hái kuài。
(彼はオリンピックの選手より足が速い)
Zhè liàng chē bǐ wūguī hái màn。
(この車は亀よりのろい)
(6)他比奥林匹克运动员跑得还快。
Tā bǐ Aòlínpǐkè yùndòngyuán pǎo de hái kuài。
(彼はオリンピックの選手より足が速い)
(5)、(6)の“还”は“更”に替えることもできる。“更”に替えると単純に比較差を強調する文になる。ちなみに、比較の対象が比喩的誇張である場合、“更”は“还”より比較差を強調する文になる。だが、以下のように両者は大差なく使われる場合もある。
(7)这次地震比上次{更/还}厉害。
Zhè cì dìzhèn bǐ shàngcì {gèng/ hái} lìhai.
(この度の地震は前回より更にひどかった)
(8)这个女的比男的{更/还}能干。
Zhè ge nǚde bǐ nánde {gèng/ hái}nénggàn.
(この女性は男性よりずっと有能だ)
(9)这家车站比那家车站利用起来{更/还}方便。
Zhè jiā chēzhàn bǐ nà jiā chēzhàn lìyòng qǐlai {gèng/ hái}fāngbiàn.
(こっちの駅を使う方があっちの駅を使うより、もっと便利だ)
Zhè cì dìzhèn bǐ shàngcì {gèng/ hái} lìhai.
(この度の地震は前回より更にひどかった)
(8)这个女的比男的{更/还}能干。
Zhè ge nǚde bǐ nánde {gèng/ hái}nénggàn.
(この女性は男性よりずっと有能だ)
(9)这家车站比那家车站利用起来{更/还}方便。
Zhè jiā chēzhàn bǐ nà jiā chēzhàn lìyòng qǐlai {gèng/ hái}fāngbiàn.
(こっちの駅を使う方があっちの駅を使うより、もっと便利だ)
余談であるが、“还”は後ろに良いか悪いかという評価の中核を表す形容詞を伴った時、“还”+形容詞で「まあまあ、先ず先ず」という意味を持つ。“还不错”(まあまあ)、“还可以”(そうわるくない)などである。他方、更”は“还”のような「一応の肯定」の意味を持たず、「いっそう、ますます」とあくまでも上向きな表現をする。
A:现在过得怎么样?
Xiànzài guò de zěnme yàng?
( ここ最近どう?)
B:现在虽然还好,但我希望过得更好。
Xiànzài suīrán háihǎo,dàn wǒ xīwàng guò de gèng hǎo。
(そこそこですが、もっと良くなればいいなぁと思います。)
Xiànzài guò de zěnme yàng?
( ここ最近どう?)
B:现在虽然还好,但我希望过得更好。
Xiànzài suīrán háihǎo,dàn wǒ xīwàng guò de gèng hǎo。
(そこそこですが、もっと良くなればいいなぁと思います。)
従って、プラス評価を下す文で、その差を強調したければ、上昇志向の“更”を使うほうがいい。“更”の方が差を強調し、“还”だと「まあまあ~」と当該事項に対して消極的な表現になるからである。
(10)今年的成绩比去年的更好。
Jīnnián de chéngjì bǐ qùnián de gèng hǎo.
(今年の成績は去年より更に良い。)(~还好 hái hǎo.~まあまあ良かった)
(11)如果你陪我一同去就更方便。
Rúguǒ nǐ péi wǒ yītóng qù jiǔ gèng fāngbiàn.
(あなたが一緒に行ってくれるととても助かる)(×~还方便 hái fāngbiàn.)
Jīnnián de chéngjì bǐ qùnián de gèng hǎo.
(今年の成績は去年より更に良い。)(~还好 hái hǎo.~まあまあ良かった)
(11)如果你陪我一同去就更方便。
Rúguǒ nǐ péi wǒ yītóng qù jiǔ gèng fāngbiàn.
(あなたが一緒に行ってくれるととても助かる)(×~还方便 hái fāngbiàn.)







