TECC受講者も愛読!相原先生の楽しく学べる中国語

どうちがう?中国語 類義語弁別

使い分けや意味の違いがうまく説明できない中国語の類義語を、中国語教育の専門家 たちが例文を駆使しながら明解に解説する、相原茂先生監修のコラムです!

第28回

01

“感动” gǎndòng ,“激动” jīdòng (田 禾)

【相原茂先生:監修】

中国語と日本語には「同形語」、つまり同じ漢字を使う言葉がたくさんある。たとえば “利用” と「利用」、“全部” と「全部」などだ。意味が大体同じものもあるが、相違点の多いものも少なくない。“感动” と “激动” はそれぞれ日本語に同形語があるため、中国語の “感动” と “激动” の意味を理解するには先ず日本語の同形語との意味及び用法における区別をしなければならない。

(1)激動する国際市場に参入できる製品はどういう製品だろう。
打入激烈变动的国际市场的产品是什么样的产品?
Dǎrù jīliè biàndòng de guójì shìchǎng de chǎnpǐn shì shénmeyàng de chǎnpǐn?

(2)彼の話を聞いて、とても感動しました。
听了他的话我很感动/激动。
Tīngle tā de huà wǒ hěn gǎndòng/jīdòng.
このように日本語の「激動」は中国語で言うと、“激烈变动” になり、“激动” とは対応しない。一方、「感動」は中国語の “感动/激动” 両方に対応するという現象が見て取れる。
しかし、“我很感动” と言うと、話の内容に「感銘」して、胸が一杯になるという気持ちを表すが、これに対して “我很激动” は「興奮」して、わくわくするということで、外見からもその興奮ぶりが分かる場合を指す。
(3)她激动得手直哆嗦。
Tā jīdòng de shǒu zhí duōsuo.
彼女は感動して手が震えている。

(4)同学们第一次看到大海,激动地又喊又叫。
Tóngxuémen dìyī cì kàndào dàhǎi,jīdòng de yòu hǎn yòu jiào.
学生たちは初めて海を目にして、興奮して大騒ぎした。
この2例の “激动” は “感动” に言い換えることができない。その理由は感動の程度に差があることと、感動した原因が違うという二点に関わる。
中国語の “感动” は表情やしぐさにその気持ちがでなくてもよく、主にこころの中が温かくなって、同情や共鳴、感謝、敬慕の念が起こることを示す。せいぜい涙を流す程度の表情の変化は見られるが、大声を出す、急に立ち上がる、踊りだすような行為は発生しない。また、“感动” の原因は気高い人柄や、犠牲的な精神など、他人の行為によってこころを打たれることで、その結果こころを動かされるわけだ。
“激动” は “感动” の原因と違って、怒りや、緊張、また意外の喜びなどの外界からの刺激により激しく変化する心境を示す。怒るときの興奮ぶりや、試験の直前の緊張した状態、久しぶりに恋人と会う時の気持ちなど、いずれも “激动” しか使用できない。
(5)明天就要参加高考了,他激动得一夜没睡。(X感动)
Míngtiān jiùyào cānjiā gāokǎo le,tā jīdòng de yíyè méi shuì.
  明日はもう大学受験なので、彼は興奮して一晩中眠れなかった。

(6)小孙得奖后激动地说“我一定继续努力!”(X感动)
XiǎoSūn déjiǎng hòujīdòng de shuō“Wǒ yídìng jìxù nǔlì!”
孫さんは受賞して、感激しながら「今後とも頑張ります!」と言った。
例(5)の大学受験も例(6)の自分の受賞も他人の行為ではないので、“激动” しか使えない。
文法的に “激动” と “感动” 両方とも使用できる文もしばしば見られるが、文全体の意味が違う。
(7)接过他冒着风雪送来的粮食,一家人都感动得热泪盈眶。(O激动)
Jiēguò tā màozhe fēngxuě sònglái de liángshi,yìjiārén dōu gǎndòng de rèlèi yíngkuàng .
彼が激しい雪の中持って来てくれた米をもらって、家族のみんなは感動のあまり涙があふれた。
“感动” を使う文は、彼の行為に対して感動したことを表し、“激动” を使うと、米をもらったことに嬉しく感じた、つまり意外な喜びを感じて、涙があふれたことを表す。
(8)他亲眼看见向往已久的敦煌,激动得不得了。
  Tā qīnyǎn kànjiàn xiǎngwǎng yǐjiǔ de Dūnhuáng,jīdòng de bùdéliǎo .
  長年憧れていた敦煌を目の当たりにして彼はとても感動した。
敦煌の旅の実現に興奮する意味を表す場合には “激动” を使い、“感动” は使えないが、もし文中の “敦煌” は「敦煌の壁画」を指す場合では、人類の文明の素晴らしさに感動する意味として、“感动”も使用できる。
以上の例から見れば、“激动”と“感动”は述語動詞としても使えるし、状語、定語としても使える。しかし、“感动”はよく“受”の後に使われるが、“激动”は使えない。例(7)を以下のように言い直すと、その差が理解できるだろう。
(9)接过他冒着风雪送来的粮食,一家人都很受感动。(X激动)
Jiēguò tā màozhe fēngxuě sònglái de liángshi,yìjiārén dōu hěn shòu gǎndòng.
彼が激しい雪の中持って来てくれた米をもらって、家族のみんなは非常に感動した。
“使”、“令” の後には “激动” も使える。
(10)临睡前最好不要看使人情绪激动的恐怖电影。
Línshuì qián zuìhǎo búyào kàn shǐ rén qíngxù jīdòng de kǒngbùdiànyǐng.
寝る前にできるだけ胸をどきどきさせるホラー映画を見ないように。

(11)老师语重心长的这番话使我很感动。
Lǎoshī yǔzhòng xīncháng de zhè fān huà shǐ wǒ hěn gǎndòng.
先生の思いやりのある言葉に感動した。
“感动” はそれ自身に「感動させる」という使役の用法もあるし、受身文にも入れる。
(12)老师语重心长的这番话感动了我。
Lǎoshī yǔzhòng xīncháng de zhè fān huà gǎndòngle wǒ.
先生の思いやりのある言葉はわたしを感動させた。

(13)我被老师语重心长的这番话感动了。
Wǒ bèi lǎoshī yǔzhòng xīncháng de zhè fān huà gǎndòngle.
先生の思いやりのある言葉に感動させられた。
“感动” の目的語は「人間」に限られる特徴がある。“激动” は目的語をとることが非常に少なく、用例としては “激动人心” ぐらい、また、受身文には入れない。
(14)我们终于迎来了这个激动人心的时刻。
   Wǒmen zhōngyú yíngláile zhège jīdòng rénxīn de shíkè .
   私たちはついに感動のこの瞬間を迎えた。
最後の一点として、「~するな」の意味を表す “别” と一緒に使えるのは “激动” で、“感动” はできないということがある。
(15)别激动!(X感动)
Bié jīdòng !
興奮するな。
“激动” は動作主自分の気持ちで、コントロールできるが、“感动” は外部からの影響によりこころが動かされたので、コントロールできないということだ。
【参考文献】
《同义词词典》张清源 主编,1994年,四川人民出版社
《近义词辨析》刘淑娥 佟慧君 常敬宇 梅立崇 编著,1983年,北京语言学院
『中国語類義語のニュアンス』相原茂 荒川清秀 大川完三郎 杉村博文 編,1995年,東方書店

(執筆:田 禾)

相原先生

相原先生プロフィール

東京教育大学修士課程修了。1980~82年、北京にて研修。中国語学、中国語教育専攻。明治大学助教授、お茶の水女子大学教授等を経て、現在中国語教育の第一人者として著述やマスメディアで活躍中。NHKのラジオ、テレビでも長年、中国語講座を担当。TECC中国語コミュニケーション協会代表。

もう1枚フォトジョークを見たい人はコチラをクリック! 相原先生の隠れ部屋 MAO的小屋 連載 相原先生監修 どうちがう?似たものことば相原茂 執筆 とっさのワン・フレ 短いけれど役に立つ!